はじめに
基本情報技術者という資格をご存知でしょうか。
独占業務はありませんが、IT系の国家資格として知名度を有しており、SIerに新卒で入社するとまず取得を奨励される資格です。
ハードウェアやネットワークの知識はもちろん、ITの企業利用についても問われ、広範な知識が求められます。
同じような資格にITパスポートがありますが、難易度としては基本情報技術者の方が高く、新卒の就活の場合履歴書に書いても恥ずかしくない資格であるということは間違いないでしょう。
(逆に言うとITパスポートは簡単すぎるため、特にアピールにならないです)
筆者はそんな基本情報技術者に一ヶ月の学習で合格したため、その勉強法と使用した参考書をいまさらながら記しておきます。
目次
- 基本情報技術者試験概要
- 筆者受験時スペック
- 使用した参考書と学習スケジュール
- 基本情報技術者を取って就活はどうなったか
基本情報技術者試験概要
- 名称……基本情報技術者試験
- 管轄……経済産業省
- 試験範囲……テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系
- 試験時間・形式……午前150分(マークシート)、午後150分(マークシート)
- 目安勉強時間……100~200時間
基本情報技術者試験は経済産業省が管轄する国家資格です。
目安勉強時間は100~200時間とされており、未経験の場合は200時間近く勉強時間が必要であるとされています。
試験範囲は広範に渡り、テクノロジ系では基礎理論・ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・データベース・セキュリティの知識が求められます。
マネジメント系ではプロジェクトマネジメント・サービスマネジメントが、ストラテジ系では経営戦略と法務等が出題されます。
IT系の資格ではありますが、プログラミングの知識は午後の選択問題で出題されるのみなので、思ったよりは取り組みやすい試験です。
マネジメント系・ストラテジ系の配点は高く、技術一辺倒だと逆に合格が難しい点も特徴的です。
試験は午前と午後にわかれており、午前は80問の択一試験が課されます。
6割以上で午前の足切りは突破です。
午後もマークシート形式ですが、大問形式であり、選択問題があります。
- 大問1……情報セキュリティ(回答必須)
- 大問2~5……ソフトウェアorハードウェア・データベース・ネットワーク・ソフトウェア設計・マネジメントorストラテジ(4つから2つ選択)
- 大問6……アルゴリズム(疑似言語)
- 大問7~11……C言語・アセンブラ・Python・Java・表計算(5つから1つ選択)
セキュリティとアルゴリズムが必須となっています。
その他は選択問題です。
大問7~11はプログラミングとなっていますが、唯一表計算だけはプログラミングではないため、完全にプログラミングを避けて受験することもできます。
筆者受験時スペック
- 学歴……地方旧帝大法学部3年
- ITのバックグラウンド……ほぼなし。中学生の時に少しHTMLをかじったくらい
- 類似資格……なし
- 受験歴……初受験合格(2018年10月試験)
当時法学部在学なため、基本情報技術者とは全く縁のない生活を送っていました。
一応中学生のときに少しだけHTMLとCSSを触っていたため、PC自体に苦手意識はありませんでしたが、資格試験に耐えうるような知識は持ち合わせていませんでした。
8月に試験に申し込んだ後、就活が忙しくて全く勉強しておらず、試験のちょうど1ヶ月前くらいから「これはやばい」と勉強を始めた口です。
使用した参考書と学習スケジュール
使用した参考書
・午前対策……キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者
・午後対策……基本情報技術者試験によくでる問題集【午後】
・選択問題対策……基本情報技術者らくらく突破 表計算
午前対策はキタミ式イラストIT塾を使用しました。午前対策というよりは、必要な知識のインプットがそのまま午前対策に繋がっているというような感じです。
また、参考書ではありませんが、基本情報技術者過去問道場というウェブサイトも積極活用しました。
午後は別途対策が必要と感じたため、評判のいい問題集を一冊やり込みました。
最初から受ける選択問題を決めていたため、すべてのページに目を通したわけではありません。
一応、表計算には不安を感じていたので、表計算専用の対策書も購入しましたが、時間がなくてほとんど取り組むことはできませんでした。
合格するだけなら不要なのかもしれません。
学習スケジュール
試験まで一ヶ月しかないため、1週間ごとにやることを変えていました。
- 一週目……キタミ式の読み込み。途中の問題は全部解きます。とにかく早く通読することを目標にします。
- 二週目……過去問道場でひたすら午前対策をします。苦手な分野はキタミ式に戻ります。暇さえあれば過去問道場です。
- 三週目……午後対策に移ります。最初から選択問題は決め打ちでひたすら解きます。最低二周が目標です。
- 四週目……午後対策が一週間で終わるわけがないので、空き時間で過去問道場を解きながらまとまった時間で午後対策をします。ようやく表計算に取り組めました。
スケジュールとしてはこんな感じです。
インプットの時間を極力短くし、過去問道場と午後対策問題集に割く時間をなるべく長く取れるようにします。
勉強時間としては合計50時間~60時間くらいです。
午前試験は結構な割合が過去問の流用なので(類似問題どころか全く同じ問題も出る)、過去問道場をひたすら回せば解けるようになります。
ボーダー60点に対して、74点ほどで通過しました。
午後対策は、一番時間を使うべきところです。
必須問題である、セキュリティ・アルゴリズムに加えて、選択問題を解いていきます。
文系未経験の場合、選択問題のおすすめは「ソフトウェア設計」「マネジメントorストラテジ」「表計算」です。
ネットワークとかできる気がしなかったので、私は初めからこの大問に絞って対策しました。
一応、ソフトウェア設計やマネジメントストラテジが激ムズだったときのために、いくらか取り組みやすいデータベースも少し解いておきました。
全分野得意ですみたいな方は当日簡単な大問を選べばいいのですが、初めから決め打ちで行くと難しい大問にも取り組まざるを得なくなります。
ボーダー60点に対して、62点でのギリギリ合格でした。
勉強法と言うには単純すぎますが、「アウトプット時間の最大化」と「選択と集中」というペーパーテストの基本戦略にのっとった方針が一番上手くいくことでしょう。
就活の影響
大学3年の秋に合格したため、日系企業の本選考では基本情報技術者合格者として就活をすることができました。
弁護士や公認会計士のような難関資格ではないため、持っているだけで優遇を受けられる資格ではありませんが、SIer就活においては役に立ちました。
今は結局SIerでは働いていませんが、内定はSIerが一番多かったです。
文系未経験の場合、必ずと言っていいほど「ITのバックグラウンドないのになんで受けるの?大丈夫?」といったことを聞かれますが、基本情報技術者に合格しているとこういった質問もかわすことができます。
人事からしても「ある程度本気でこの業界を考えているんだなあ」となるので、通過させやすいです。
どうせSIerの場合は入社後に基本情報の勉強をすることになるので、既に合格している人の方が多少の信頼はあるということです。
基本情報で就活大逆転!学歴の壁を乗り越え楽々内定!とはなりませんが、業界問わずIT知識が必要になる現代において、取っておいて損はない資格ということができるでしょう。
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