国立国会図書館職員職って何?
日本で発行された全ての出版物が収められている国立国会図書館。
実は、公務員試験を通して新卒採用を毎年行っています。
主な募集職種は総合職と一般職です。一応文献保存などの特定スキルを持った人材を対象とした専門職の募集も行っています。
そして、総合職は毎年若干名、一般職であっても10人程度しか採用しない為、非常に狭き門となっています。
その倍率は百倍程度にも及ぶことから、公務員試験の中でも最難関クラスとさえも言われています。
なぜ国会図書館職員はマイナーにも関わらず、ここまで人気なのでしょうか。
気になる年収や仕事内容にフォーカスし、解説していきます。
国立国会図書館職員の仕事内容
国会図書館職員の仕事内容は調査業務と事務業務に大別されます。
調査業務
調査業務は、国会議員から依頼された調査を代行することを指します。
証券会社のアナリストみたいなものを想像すればわかりやすいかと思います。
国政に関わる調査業務を依頼された国会図書館職員は、古今東西の文献を隈なく探してレポートにまとめ上げます。
おおよそ図書館職員という名前からは想像もつかない、ハードな知的労働です。
文献を探してまとめ上げることが唯一の仕事なのですから、
「探してみたけどわかりませんでした~」
は許されないのです。
しかし、難易度が高い分、やりがいも感じられる仕事でしょう。
自分の調査に下支えされて政策が決められていくのは中央省庁以外の公務員ではなかなか経験することはできません。
事務業務
事務業務は、組織運用に不可欠なバックオフィスの仕事です。
人事や施設管理、他組織との連携といった、国会図書館が国会図書館として力を発揮するための調整業務を執り行います。
特段国会図書館らしい仕事があるわけではないと思いますが、採用人数からもわかる通り少数精鋭の組織なので、一人一人に与えられる裁量は大きいものだと予想されます。
事務業務=つまらないという固定観念を持つことなく、組織運営に不可欠な仕事をしている誇りを実感しやすいのではないでしょうか。
国立国会図書館職員の年収や残業時間
非常に高倍率な試験を突破して国会図書館職員になることができた場合、どのような待遇になるのでしょうか。
年収
謎に包まれた国会図書館職員ですが、その年収は概ね国家一般職の国家公務員と同等の待遇のようです。
東京勤務で諸々の手当を加えると、初任給は約21万円になります。普通ですね。
30歳で年収500万円、40歳で800万円といったところでしょうか。給料が特別高いわけではありません。
ただし、公務員のネームバリューがありますので、住宅ローンの審査等にはかなり通りやすいと思います。
ちなみに、国会図書館の館長まで出世することができれば、年収は2000万円程になります。
勤務地
国会図書館職員は、意外なことに転勤があります。
なぜなら、国会図書館というのは東京本館に加えて、国際子ども館(東京)と関西館(京都)の三つを指すからです。
子ども館は上野にあるため、転居の必要はない場合もありますが、関西館勤務の場合は確実に転居となります。
ただし、女性が51%を占めることもあって、管理職でない場合は転居を伴う転勤のタイミングは比較的融通が利くそうです。
残業
国会図書館職員は、非常にワークライフバランスの優れた職場です。
調査業務に従事している場合は、締切前は忙しくなるかもしれませんが、そうでなければ基本的に残業はほとんどありません。
年収よりもワークライフバランスを求める人にぴったりの職場でしょう。
ただし、中央省庁等に出向している場合は勤務時間がかなり伸びる可能性があります。
身分が図書館職員でも、出向してしまえば勤務先の残業時間に引っ張られてしまいます。
どうしても残業したくない場合は出向は避けた方が無難です。
国立国会図書館職員になるには
試験
国会図書館職員になるには、国会図書館がが独自に実施する試験を受け、合格する必要があります。
大卒程度一般職の場合は、
- 教養試験(マークシート)
- 専門試験(記述)、英語試験(記述)、個別面接
- 個別面接
の一次試験から三次試験まで実施されます。
専門試験は、法学(憲法、民法、行政法、国際法から受験時に2分野選択)、政治学、経済学、社会学、文学、史学(日本史、東洋史、西洋史から受験時に1分野選択)、図書館情報学、物理学、化学、数学、工学・情報工学(工学全般、情報工学から受験時に1分野選択)、生物学の中から一科目選びます。
総合職の場合は、二次試験の専門試験に追加設問が加わり、三次試験の評定に用いられる小論文試験も解くことになります。また、三次試験においても、集団討論(グループディスカッション)試験が加わり、全体的に難易度が上がります。
専門試験の選択科目が膨大なため、学部による有利不利は出にくいですが、英語が苦手な受験生は突破が困難になるでしょう。
難易度
何度も言っていますが、非常に高いです。
枠も狭いので運も必要です。
東大生であっても、総合職どころか一般職の試験にも落ちる可能性があります。
また、シンクタンクに近い業務内容でもあるので、文系の大学院生もこぞって受験します。
学部生の場合、仮にペーパーテストを通過したとしても、面接で専門性を出すことができずに落ちてしまう可能性も高いです。
タイミングが悪ければ海外有名大卒の人が受験しているかもしれません。
そうなると余程の強みがない限り、普通の学部生では総合職としての合格は難しくなるでしょう。
まとめ
謎に包まれた国立国会図書館職員について解説しました。
日本トップクラスのワークライフバランスを誇る職場で、やりがいのある仕事に従事できることは非常に良い経験となるでしょう。
ただし、難易度もかなり高いので必ず他の公務員や民間企業と併願するようにしましょう。